tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

「北風小娘」19


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緩やかだけれども、長い坂の上にある

その高校に植えられた桜の樹は

すっかり葉が落ちて丸裸ん坊で

 

風で飛ばされた葉は

寂しげにプールで漂っている

 

 校舎の屋上に、「あんず」は独り

ポツンと座っていた

 

あの日、山間の駅で見かけた

幼馴染の男の子に片思いをしている

ポニーテールの女の子が気になり

様子を見に来たのである

 

グランドのフェンスに

まん丸の夕焼けが乗っかり

西日が校舎を橙(だいだい)に染めていた

 

幼馴染の2人は、並んで校門に向かい

長い坂道を下っている

 

男の子には好きな女の子がいて

よく言えば無邪気で

言い方を変えるならば、鈍感で能天気な男の子は

 

 ポニーテールの女の子の気持ちには気付かずに

相も変わらずに、自分の恋時の相談ばかりしていた

 

ポニーテールの女の子は、時々は相槌を打ちながら

楽しそうに話をする男の子の横顔をみて

 

幼馴染の恋が成就するよう、裏方に徹しようと

マフラーで寂しげな口元を覆い隠しながら

アドバイスをしていた

 

「あんず」には 、二人の近くを飛ぶ

クピード(Cupido)が見えていた

彼らは、日本では英語の

キューピッド(Cupid)の名で知られる

 

「いつまで待たせるのだろうか?」と

女の子の寂しげな様子を見て

 春が来ると旅立つ「あんず」は「イラッ」として

 大きく息を吸い込むと

クピードを目がけて、一気に吹いた

 

凍てつくような風がクピードに当たり

クピードは「余計なことはするな」と

ジェスチャーをして来たが

 

「あんず」が再び大きく息を吸い込もうとすると

クピードは背負っていた筒から天使の矢を取り出し

「あんず」に向かい弓を構えた

 

「はっ」と我に返った「あんず」は

「ごめんなさい」とクピードに頭を下げ謝罪し 

 

「二人は、一度はお互い個々の道を歩むけれど

いずれは一本に戻る道を歩んでいる」のだから

余計なことはしてはいけないと

自分のした禁忌行為を反省した

 

 2人が校門を出て、駅に向かう後ろ姿が見えた

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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