tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

「おんな一人旅」


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「昭和」から「平成」へ元号が変わる頃の話

 

Mさん(女性)は 高校卒業後に東京都内の販売会社へ就職した

 

二十歳の誕生日を迎えたMさんには 「夢」があった

 

その「夢」とは 「おんな一人旅」だ

 

Mさんは 小柄で痩身、超---童顔

パット見た感じは 「おませな中学生」でも通じる

 

現に 仕事帰り 職場の最寄り駅である新宿駅で 

私服警察官から 「家出少女」と間違えられ

声を掛けられたことが数回ある

 

二十歳の晩秋

「夢」を「現実」のものにするため

宿泊予約などしていない

行き当たりばったりの「おんな一人旅」を

実行した

 

平日に数日間の有給休暇をとると

朝早く バックを片手に温泉地までの切符を購入し

電車に飛び乗った

 

駅前の喫茶店で 少し遅めの昼食を摂り

バスに乗り 最寄りの観光スポットを楽しんでから

温泉街へ向かった

 

小奇麗な宿をみつけて フロントへ飛び込んだ

 

これまでの経験で予想していた通り

「家出少女」と思われたようで

運転免許証・社員証・保険証で

「成人していること」や「勤務先」を

説明した

 

が、宿泊は「断られた」

 

その後 数か所の宿泊施設を訪れたが

結果は同様

 

 秋の夕陽はつるべ落とし・・・

 

薄暗くなって来て 気も焦って来たので

近くにあった 少し古びた感じの宿に飛び込んだ

 

そこで ようやく宿泊することができた

 

自分の母親くらいの年齢の仲居さんが

部屋を案内してくれた

 

仲居さんから アレコレ聞かれたが

それはそれで 雑談を楽しんだ

 

仲居さんが部屋を出る間際

 

Mさんは 用しておいた「心付け」を

そっと仲居さんに手渡した

 

親切な仲居さんで 

若い女性の一人旅」に

気を遣ってくれ 頻繁に部屋を訪れては

なんやかんや 世話を焼いてくれた

 

「もしかしたら 心付けの効果かな?」と

Mさんは 少し思ったそうだ

 

「予約なし」の飛び込みだったけれども

夕飯は部屋だしの豪華な料理が並んだ

 

お酒は弱いけれども

二十歳の記念の一人旅なので

少しだけ飲んだ

 

翌朝 朝風呂に浸かった後

部屋でボーっとしていたら

電話が鳴った

 

受話器を取ると 朝食の案内だった

 

朝食は 大広間で食べるシステムになっていた

 

自分の部屋番号が書かれた札のある場所に座ると

昨日と同じ仲居さんが給仕をしてくれた

 

朝食を済ませ 部屋に戻り 荷物をまとめ

チュックアウトの準備をしていると

 

「コン コン」と ドアをノックする音がして

仲居さんが入って来て

 

「昨日 心付けを頂戴したので 今後の参考に

内緒話をしにきました」と云った

 

仲居さんの話によると

「女性の一人旅」の場合

「別部屋に宿をとる男性との 特殊関係」や

「自殺目的」を疑うそうだ

 

後者の場合 宿泊部屋での自死はもちろん

荷物や遺書を置いて夜中に外出し

近隣での自死するケースもあるそうだ

 

昨日 「予約なし」の飛び込みで

若い女性の一人客が来たので

宿では当然 疑った

 

が、Mさんの身分証明書類を提示しての

懸命な説明で 宿泊は受け入れた

 

とはいえ 宿としても「万が一」に備え

ベテラン仲居さんを担当にして

こまめに観察をしていたそうだ・・・

 

 

四半世紀以上前の 古い話しでした

おしまい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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