tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

「北風小娘」 令和弐年文月 其の陸(終)


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「あんず」と「女性の魂」が声の方へ

振り向くと

 

神の遣いの巫女「不知火(しらぬい)」と

狛犬の「疾風(はやて)」がいた

 

「あんず」を導いた 「時の扉」が開いた神社は

「縁切りさん]のいる神社だった

 

「縁を切るということは

未来永劫縁あることが無くなるのだが

本当にそれでいいのか?

あとで後悔はしないか?」

と、「不知火」が問いかけた

 

女性の魂は

「過去の楽しい想い出があれば十分です」

「あの人が このまま今の生活を続けていくと

健康も害するので それは望んではいないこと」

「少しでも未来に希望がみえるように

なって欲しいと願っている」と気持ちを吐露した

 

「覚悟ができているなら 十分だ」

と 「疾風」がつぶやいた

 

ヒトの「縁」は 

「縁糸(えんし)」と呼ばれる

ヒトの眼には見えない糸で繋がっていて

三本ある

 

その三本の糸は

一つ目の糸が「過去」で

二つ目が「今」で

三本目が「未来」で

複雑に絡み合っている

 

「不知火」は駿馬の式神を呼び出すと

「子どもの魂」を連れてくるよう命じた

 

「子どもの魂」が到着すると

「疾風」は神社の周囲を警戒し

安全を確認した

 

「不知火」が 女性と子どもの魂の周りに

広めに結界を張った

 

続いて「不知火」は

老猿と兎の式神を呼び出し

 

それぞれの魂の絡み合う「縁糸」を

「解(ほぐ)す」よう命じ 印を切った

 

すると 老猿と兎の式神

各々2体に分身し

老猿の式神が 如意棒を取り出し

三本の「縁糸」の中へ挿入し

兎の式神が 丁寧に解し始めた

 

橙色の陽が傾き始めた頃に

ようやく解し終えた

 

「不知火」は「縁切り薙刀なぎなた)」を

取り出すと 躊躇(ためら)うことなく

「今」と「未来」の「縁糸」を断ち切った

 

「不知火」は結界を解き

駿馬の式神

「女性と子どもの魂」を背に乗せると

 

輪廻転生に向かうべく

天界に向かって走り出した

 

 

最後まで見届けた「あんず」は

「不知火」が「過去」の「縁糸」を

切らずに残した理由を考えながら

「時の扉」を開き 戻って行った

 

家族を亡くしたあの日以来

男は 死ぬことが怖くなく思え

逆に いっそのこと 自分も亡くなれば

あの世で妻と子に会えるのではないか?と

毎日考えて過ごしていた

 

その晩 男は不思議な夢を見た

 

白い馬に妻と子が仲良く乗り

空を駆けている夢だった

 

目覚めると 男は仏前に手を合わせ

今までの想い出は胸に秘め

新しいことをしてみようか?

と、ふと思った

 

物干しに吊るされた風鈴が

優しい音色を響かせた

 

 

おしまい

最後までお読みいただきありがとうございました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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