tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

「北風小娘」14


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最近オープンしたその「食堂」は

大きな公園の隣にあり

周囲に高い建物がない

山の稜線が見渡せる場所にあった

 

風は穏やかで、やわらかな陽射しが降り注ぐ

青い空が広がる冬晴れの日

 

「あんず」と「かりん」と「市(いち)」は

公園にある樹の枝に並んで座り

窓から見える「食堂」の女将さんの姿を眺めていた

 

ショートボブの女将さんはテキパキと動き回り

料理の下ごしらえをしていた

 

開けた窓からは、時々ミートソースを煮込む

いい匂いがして食欲をそそるので

3人の腹の虫も元気よく泣いていた 

 

女将さんの包丁さばきは抜群で

まるで十三代目 石川五ェ門

斬鉄剣を扱うようだ

 

食材を次から次へと

トントン巧みに切っている姿は

惚れ惚れするほど素敵だ

 

ちなみに「トントン」とは

包丁がまな板にあたる音で

某自動車メーカーのCMで使われる

「トントン トントン ヒ〇ノ 2〇ン」

とは関係が無いので、念のため申し添える

 

斬鉄剣では切れない「コンニャク」も

女将さんの包丁さばきなら簡単で

先日は自分の指まで切ろうとしていた

 

女将さんが調理に集中している後ろでは

たぶん女将さんのお嬢さんと思われる

メガネをかけた子が、手伝う風を装い

「つまみ食い」をしている

 

美味しそうに「つまみ食い」する様子を見て

「あんず」と「かりん」と「市(いち)」は

唾を飲み込んだ

 

隣接する公園では、冬休みに入った子どもたちが

はしゃぎ回り遊んでいた

 

凧あげをしようとしている兄弟がいるが

微風だから、なかなか凧が上がらない

 

その様子をみていた北風小娘の「あんず」が

口笛を吹くように「フッ」と息を軽く吐くと

やさしい風が吹き、凧は大空へ高く舞い

 公園に子供たちの歓声が響いた

 

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