tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

「北風小娘」8


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カラス天狗の子ども「市(いち)」は

リーダー格のガッシリした体型の子を目がけて

一直線で突っ込んで行った

 

その男の子に向かい、ガッシリした体型の子が

「オレは客観的事実を云っているだけだ」

「何か文句や言いたいことでもあるのか?」とすごんで

右手で握りこぶしを作り、振り上げたその瞬間

 

猪突猛進した「市」は、振り上げられた握りこぶしを

避けることが出来ずぶつかってしまい

「市」の身体は小さくて軽いため

「あれェーーーーーーーーーー」という声もむなしく

弾みで遠くまで飛ばされてしまった

  

人間には「北風小娘の『あんず』」や

「カラス天狗の子ども『市(いち)』」は見えない

 

ガッシリした体型の子は

手の甲に何かがぶつかったような気がした

 

北風小娘の「あんず」が大きく息を吸い

頬を膨らませ「フッー」と吐くと

鋭い風がガッシリした体型の子の帽子を飛ばした

 

「あんず」は立て続けに風を吹き付け、帽子を遠くへ飛ばした

 

「ああああっ・・・待てー」と

ガッシリした体型の子が帽子を追いかけると

残りの2人も後に続いた

 

その男の子は「唇をかみしめて」何かを我慢していた

 

その男の子はアパートに帰ると

手を洗い、買ってきた品物を台所に出して

料理をはじめた

 

母親が帰宅してアパートの部屋の前まで来ると

いつも通り部屋の灯りはついていた

 

掛け持ちの仕事を始めたばかりの頃

母親は、節約のため消灯して寝るように云い聞かせたが

その男の子は、必ず灯りをつけたままにして先に寝ていた

 

母親は「小学校高学年とはいえ、1人だと部屋を暗くするのは怖いのだろうか?」と、週に何度か泊りがけで来てくれる、自分の母親に聞いてみた

 

「それはちがうよ」

「あの子は、真っ暗な部屋に帰ってくると

お母さんがかわいそうだから

 電気はつけたままにしておくといって消灯しないんだよ」

と、自分の母親から理由を教えてもらった

 

母親が部屋に入ると、机の上に何かがあった

 

よく見てみると

 

その男の子が作った

ラップのかけられた「フレンチトースト」と

リボンの掛けられた小さな紙袋と

手紙と、小銭が置いてあった

 

手紙には

「お母さん おたんじょうびんおめでとう」と

書かれてあり

リボンの掛けられた紙袋には

ふわふわの靴下が入っていた

 

小銭は、子どもなりに考えて

食費を浮かせてコツコツためた残金らしい

 

母親は目頭が熱くなり、うずくまり、声を殺して泣いた

 

しばらくして落ち着くと

涙と鼻水と一緒に「フレンチトースト」をいただいた

 

その様子を電球の傘の上で眺めていた「市」は

もらい泣きした

 

翌朝、クリームシチューの香ばしい匂いで

その男の子は目覚めた

 母親は冷蔵庫にあった材料で、子どもの好物を作っていた

 

母子は、午前9時頃に、遅めの朝食を久しぶりに

楽しくいただいた

 

まだ電球の傘の上にいた「市」は、

その仲睦まじい様子を見て再び涙した

 

「幸せとは、大切な人の笑顔をみることができること」

と、「市」が思うわけはないので

作者が代わりに書いておくことにしよう

 

「市」は涙を拭きながら、何やら視線を感じ

視線の方向を見ると、カーテンの隙間から

窓ガラス越しに、鋭い視線でのぞいている

「あんず」と視線が合った

 

「はっ‼」として

その時、ようやく忘れていたあることに気付いた

 

「まっ・・・マズイ」

「市」は焦った

 

「あんず」と「市」は「その男の子」のことが気になり

「あんず」は夕方には帰宅しなけれならないので

「市」が「その男の子」のその後を追跡調査して

今朝8時に、昨日のバス停待合所屋根上で報告の

待ち合わせていたのだ

 

昨日「あんず」からは

「遅刻したら破門して、焼きガラスにして食べてやる」と云われていた

 

怒った顔をした「あんず」が手招きして「市」を呼んでいる

 

「市」には、逃げ場はない

 

合掌

 

 

戯言話を最後までお読みいただき、ありがとうございました

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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