tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

「北風小娘」6


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 白樺林の中にある風の道を滑走し

「北風小娘」は雪原へ出た直後

 

東の空から、鷹が何かを追いながら

こちらの方へ向かってくるのが見えた

 

「このままでは、ぶつかりそうで危ない」と思い

「北風小娘」は止まって、少し後戻りして

 白樺の陰に身を隠した

 

よく見ると、成人男性の親指くらいの大きさの

「カラス天狗の子ども」が、鷹に追われていた

 

「北風小娘」は大きく息を吸い、頬を膨らませ

一気に「フーーーッ」と鷹を目がけて吹きかけると

冷気が矢のように鷹の進路を妨害した

 

鷹が「カラス天狗の子ども」を追うのを諦め

方向を変えた直後に

 「カラス天狗の子ども」は力尽きて雪原に落ちた

 

「北風小娘」は駆け寄り

「カラス天狗の子ども」を拾い上げ

 「大丈夫かな?」と思いながら顔を覗き込むと

肩で息をしながら、涙ぐんでいた

 

「北風小娘」が、持っていた水筒の水を飲ませると

ようやく「カラス天狗の子ども」は落ち着いたようで

「ありがとうでゴザル」とお礼を述べ

 

続けて、手にしている錫杖(しゃくじょう)で

 「あっしの名はこう書きます」と云いながら

雪上へ『東陽市』と記した

 

「あずま よういち???人間みたいな名前?」と

「北風小娘」が聞くと

 

「いいえ、ちがうでゴザル」

「『とうよう いち』と読むでゴザル」と

「カラス天狗の子ども」は云った

 

「まんまやないか!」とは口には出さず

「北風小娘」は心の中で呟いた

 

「アネゴ・・・

 先程の必殺技は何という技でゴザルか?」と聞かれ

 

「えっ⁈・・・アネゴって・・・」

「あれは風族なら誰でも出来るし

任務で必要なので必殺技なんかじゃ無いよ」と

笑いながら答えるが

 

「市(いち)」は

「自分は小さいから、みんなにバカにされるので

強くなりたいでゴザル」

「弟子入りするので、教えてくださいでゴザル」と

何度も何度も懇願した

 

根負けした「北風小娘」は

「よし、じゃあ弟子にしてあげるよ」

 

「それで、ワタシの『一番弟子』で

   名前が『とうよう いち』だから

今から『市(いち)』と呼ぶことにする」と云うと

 

「市(いち)」は喜んで跳びまわった

 

「市(いち)」がはしゃぐのが落ち着くのを待って

「北風小娘」が、「今日はもう行くね、またね」と云うと

 

市(いち)から「まってください、アネゴ」

 「まだアネゴの名前を聞いていないでゴザル?」

「教えてくださいでゴザル」と

再び懇願された

 

「北風小娘」は

 

「ワタシの名前は『あんず』だよ」

 と、少し はにかみながら教えると

「じゃあね、またね」と手を振りながら

雪原を西に向かって駆け出した

 

 

 

 

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