tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

北風小娘

スピンオフシリーズ 「堕天使 BJ」編 8

女性は、「三毛猫」を“”男性の化身ではないか?“”と 心の中でひそかに思っていたので、嘆き悲しんだ 一方で、命を賭して「孫」を救ってくれたことに感謝し 手厚く葬った その日、女性は“”男性“”と二人で費やした 互いに無意識に甘えあい 穏やかな時の流れに…

スピンオフシリーズ 「堕天使 BJ」編 7

明け方に降った雷雨で、誤って地上に落ちてしまった 両手にバチを持ち、背中に太鼓を背負った 成人男性の手のひらサイズの 雷神の子ども弐体が、手水舎(ちょうずや)の陰から 物珍しそうに、妙齢の女性を眺めている 三毛猫がそれに気が付いて、女性に悪さを…

スピンオフシリーズ 「堕天使 BJ」編 6

かつて眷属神だった麝香鹿(ジャコウジカ) 今はBJと名乗る堕天使は 塒(ねぐら)とした神社の 石造鳥居の上で寝ていた 五月闇に雨がしとしと降り出し 紫陽花の葉を揺らすと 蝸牛(かたつむり)が目覚め 滴(しずく)で濡れた葉の上を 這い始めた 遠くで稲…

スピンオフシリーズ 「堕天使 BJ」編 5

小さな町に1つだけある中学校の 校門を左に出て 急な下り坂を降りると橋がある そこから橋を渡らずに、川沿いを左に進む 周囲の田圃には、植えられたばかりの 青々とした稲が整列し 鳥たちが田圃に張られた ぬるい水の中に降り立っては 土中の虫を探しては、…

スピンオフシリーズ 「堕天使 BJ」編 4

堕天使となった今では 「BJ」と名乗っているが かつて神吾田鹿葦津姫 (かむあたかあしつひめ) (別名 コノハナサクヤヒメ等とも呼ばれる) という神に仕える 子易(子安)神と呼ばれる 眷属神であった頃は 「麝香鹿(ジャコウジカ)」 と呼ばれていた B…

スピンオフシリーズ 「堕天使 BJ」編 3

子易(子安)神をしていた頃の 眷属神BJは 普段は優しい母親でも 子育てに追われながら 家事を行っていると イライラがつのる時もあり 思わず、子を心無い言葉で叱ってしまい 叱った後で涙して反省をする 1人で全てを抱えて 頑張りすぎて 同情したくなる母…

スピンオフシリーズ 「堕天使 BJ」編 2

どのような人間も 善悪の両面を兼ね備え 陽の当たる面もあれば 日影の部分も持ち合わせている 例えば、平気でウソをついて 高齢者を騙して 金を奪い取る輩でも 偶然通りかかった駅前で 募金をやっているのを見て 財布の小銭を募金箱に入れてみたり 自分の祖…

スピンオフシリーズ 「堕天使 BJ」編 1

日本には八百万の神々がいて 人間の願い事全般に対応する神も少数いるが 多くの神々は、それぞれ得意分野を持ち 例えば、恋愛成就、学業成就、商売繁盛 縁切り等、専門化している 人間の欲は膨大かつ無限大であるので 八百万の神だけでは手が回らず 眷属(け…

スピンオフシリーズ 「春風小町」2

いつもなら 園庭で元気よく飛び回り 遊び疲れた園児たちに 眠りの天使が舞い降りて 安らぎの時を運んでくる午後 春風小町の「いちご」は 園庭の端に植えられた樹の 太い枝にポツンと座り 誰もいない教室や 葉桜を眺めている 今年は、少し様子が違う いつもな…

スピンオフシリーズ 「縁切りさん」8

老猿の式神により 屋外へ引きずり出された「魔物」を狙い 待ち構えていた、弓の名手である兎の式神が 複数の矢を放った 「魔物」の四肢に矢が刺さり ほんのわずかな時間だが「魔物」の動きが止まった その瞬間を狙い、「不知火(しらぬい)」が 「縁切り薙刀…

スピンオフシリーズ 「縁切りさん」7

東の空に、はくちょう座のデネブ わし座のアルタイル、こと座のベガが作る 夏の大三角形がきれいな夜だった 「魔物」の正体は「素(そ)」である 「素」とは、人の気持ちの「陰」のこと 例えば 夫婦の愛情がいつしか薄情に変わったり 憧れもていた人への気持…

スピンオフシリーズ 「縁切りさん」6

コンビニで買い物をして レジで支払いをする その時のレジ係の人との出会いは 「縁」である 通勤電車で隣のつり革を握る縁 教室で机を並べて座る縁 親子の縁、男女の縁、同じ職場で働く縁・・・ 日々の生活の中で 「縁」を意識することは無い 意識することは…

スピンオフシリーズ 「縁切りさん」5

夏休みが始まり、その日は 午前中に学校のプール教室があった 石畳の彼方(かなた)に 陽炎(かげろう)が揺らめく夏の午後 女の子は、真っ直ぐに帰宅せず 友だちのおばあちゃんに 教えてもらった神社に来た 「お賽銭は入れなくてもいい」と 聞いてはいるが …

スピンオフシリーズ 「縁切りさん」4

梅雨が駆け抜け 入道雲の夏が来ると 街は夏の装いになった もうすぐ夏休みを迎えるので 同級生達は、はしゃいでいたが 女の子の気分はドシャ降りだった 夏服の薄着になってから 男の嘗め回すような視線を感じ 怖くて仕方がなかった でも、母親のこと考えると…

スピンオフシリーズ 「縁切りさん」3

女の子の父親は 数年前に病気で亡くなっていた 専業主婦だった母親は 子供と二人で生きていくため働き始めた ある時 母親は職場で知り合った年下の男と親密になり 男は、母子の家に入り込み居着いてしまった 最初は、その男を優しい人だと思った だが、それ…

スピンオフシリーズ 「縁切りさん」2

その神社には、人には見えない 巫女の姿をした神の遣いと 1匹の狛犬が鎮座している 巫女の名は「不知火(しらぬい)」と云い 「縁切り薙刀(なぎなた)」を携え 狛犬は「疾風(はやて)」と呼ばれている 「不知火」には「かりん」という名の 妹がいて、姉妹…

スピンオフシリーズ 「縁切りさん」1

昔から人間は「神頼み」をよくする 厄除け、商売繁盛、家内安全 交通安全、学業成就、安産祈願・・・ 人里離れた山の中腹 鬱蒼とした樹々が生い茂り 少しばかり朽ちた社の その神社は 以前は良い縁を求め 「縁結び」を願ったが 今では「悪縁となり果てた そ…

スピンオフシリーズ 「春風小町」1

「春風小町」の「いちご」は かつては「春風小娘」と呼ばれ 名前から「私は永遠の15歳」 というのが口癖であるが すでにそのような年齢ではない ひと昔前の「いちご」は 痩身でかっ飛ばしていたが 最近は少しポッチャリしたので ゆっくりと野山を駆け巡る …

「北風小娘」23(season1終)

暦が如月から弥生に変わって まだ日も浅い 柔らかな陽射しが降り注ぐ 風のない穏やかな日の午後 その町の川沿いの土手では 年配の女性たちがどっしりと腰を下ろし ご近所さんの噂話をしながら 蓬(ヨモギ)の若芽を摘んでいる 背丈の低い枯草が生える田圃では …

「北風小娘」22

時を告げる山寺の鐘の音が 小さな町に鳴り響く夕暮れ時 「あんず」「かりん」「市」の3人は 山頂から神社の境内を通り抜け 鳥居まで来ると、また明日会う約束をして それぞれの帰る場所へと向かった 「あんず」は、竹林の中にある風の道を通り ポプラ並木の…

「谷内六郎」さんの絵に憧れて、文章で表現できないものか?と考えたのが「北風小娘」です

同世代以上の方なら、CMで流れていた 「週刊新潮は、明日発売です」を記憶している方も 多数いると思う 長年、週刊新潮の表紙を飾った 「谷内六郎」さんの絵の世界が好きだった あのような絵を描いてみたいと願ったが あいにく、私は絵を描くことが苦手だ…

「北風小娘」21

雲一つなくスッキリと晴れた日 西の空に「宵の明星」が瞬くころ 大きな家の庭先にある、柿の木の枝に 「あんず」と「かりん」「市」は 仲良く並んで座っていた 縁側の障子には 鬼のお面をかぶり 逃げ回る父親の背中へ 豆を投げつけながら追い回す影が いくつ…

「北風小娘」20

鉛色した厚い雲が、陽射しをさえぎる土曜の午後 少し伸びたセミロングの黒髪をキュッと結んで 北風小娘の「あんず」は、雪山の山頂から麓に向け まっしぐらに駆け抜けた 樹の枝は、重く降り積もった雪で 今にも折れそうなほど、弓なりに折れ曲がっていたが …

「北風小娘」19

緩やかだけれども、長い坂の上にある その高校に植えられた桜の樹は すっかり葉が落ちて丸裸ん坊で 風で飛ばされた葉は 寂しげにプールで漂っている 校舎の屋上に、「あんず」は独り ポツンと座っていた あの日、山間の駅で見かけた 幼馴染の男の子に片思い…

「北風小娘」18

その小さな集落の真ん中あたりを 少し大きな川が流れていた 川の水は田圃に引き込まれ 八十八夜を迎える頃には 人々がにぎやかに田植え作業に勤しみ 川の周囲は緑色に染まる 盂蘭盆が過ぎる頃には稲穂も大きくなり 月が替わる頃には黄金色に輝く 秋の実りを…

「北風小娘」17

冬の凛とした凍てつく朝の空気の中 吐く息は白く 耳当てをして、手袋をハメ ほっぺたを紅くしながら カラシ色の帽子をかぶった子どもたちが 次々と校門の中に入って行く 校庭に出来た霜柱を踏みつけて 靴を汚しながら鬼ごっこをして遊ぶ子供たちや 鉄棒に寄…

「北風小娘」16

神様の多くは毎日忙しく (「貧乏神」みたいに暇な方がいい神もいるが・・・) とてもじゃないが1人では手が回りきらない そこで、それぞれの神々には仕える者が多数いる 「かりん」は「冬の神様」に仕える「巫女の見習い」だ 例え「巫女の見習い」といえど…

「北風小娘」15

小さな集落にあるその神社では 正月を迎えるので 地域の人々が朝から集まり 境内に落ちている枯れ枝や葉を掃き 提灯を飾り、しめ縄を新しいものへ換えたりと忙しい 昼前には正月準備も終わり 人々は一旦帰宅し 神社はいつも通りの、静かな時を迎えた 午後に…

「北風小娘」14

最近オープンしたその「食堂」は 大きな公園の隣にあり 周囲に高い建物がない 山の稜線が見渡せる場所にあった 風は穏やかで、やわらかな陽射しが降り注ぐ 青い空が広がる冬晴れの日 「あんず」と「かりん」と「市(いち)」は 公園にある樹の枝に並んで座り…

「北風小娘」13

昨日の雪が空気中のチリやホコリを掃除したので 遠くまで見渡せるほど空気は澄んでいた 今日は雲一つない晴天で 日中、陽当たりのよい場所では雪は解けていたが 夕暮れの背中に一番星が瞬く頃になると 凍り始めていた たくさんの人で賑わっていた「海の家」…

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