「お主 鬼の匂いがするな・・・」と
男の背後から 女性の声がした
ビクッ・・・としながら 男がふり返ると
巫女装束の女性が
左手には薙刀
その左側には駿馬
女性の右側には
片手に棒を持った老猿
弓を持った兎がいた
「おいお前・・・」と
今度は鎮座していた狛犬が
三尾をピンと立てて牙をむいていた
兎が男を囲むように 四方へ矢を放ち
巫女装束の女性が
右手の人差し指と中指のみ立て
唇の前に付けると
何か唱えた様だった
すると 四方の矢が
鎖のような物でつながれた・・・
「結界を張られた・・・」
「逃げられないぞ・・・」と
頭の中で 青鬼の声が聞こえた
「いや・・・このヒトは半分は人間だから
結界から出ることが出来るんじゃあないか?」
と 赤鬼が云う
「逃げねえよ」
「俺はいつ死んでもいい」
と 男はポツリとつぶやいた