tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

邪鬼 ~ 鬼に憑かれた男~(拾捌)

「お主 鬼の匂いがするな・・・」と
男の背後から 女性の声がした

ビクッ・・・としながら 男がふり返ると
巫女装束の女性が 
左手には薙刀 
その左側には駿馬 

女性の右側には 
片手に棒を持った老猿 
弓を持った兎がいた

「おいお前・・・」と 
今度は鎮座していた狛犬が 
三尾をピンと立てて牙をむいていた

兎が男を囲むように 四方へ矢を放ち
巫女装束の女性が
右手の人差し指と中指のみ立て
唇の前に付けると
何か唱えた様だった

すると 四方の矢が
鎖のような物でつながれた・・・

「結界を張られた・・・」
「逃げられないぞ・・・」と
頭の中で 青鬼の声が聞こえた

「いや・・・このヒトは半分は人間だから
結界から出ることが出来るんじゃあないか?」
と 赤鬼が云う

「逃げねえよ」
「俺はいつ死んでもいい」
と 男はポツリとつぶやいた

初恋の味

初恋には味があり

 

その味は 

ひとそれぞれ異なる

 

たとえば

カルピス味の人もいれば

ビーターチョコ味や

ブラックコーヒー味の方もいる

 

初恋を 誰にも告げず 胸に秘める

初恋を 友だちにだけ そっと教える

初恋を 告白して 予想通り撃沈する

初恋を 告白して 相思相愛を知る

 

世の中には 初恋のひとが

今の連れ合いで・・・

という方もまれにいらっしゃるが

 

多くは 儚く散る

 

あと2カ月もすれば 

卒業、異動、転勤・・・

別れの春が来る

 

思うに

「つまらない人生」とは

「あの時 ああすればよかった」

「あの時 やっておけばよかった」

と後悔すること

 

後悔するのは そこに愛があったから

涙ほど乾くのが早いものはない

 

 

時のはざまで迷子になって

迷子になるのは 

「子どもの特権」ではなく

「おとな」だって 

迷子になることが

しばしばある

 

仕事で壁にぶつかって悩んだり

家庭のゴタゴタで心を傷めたり

友人との距離の取り方が

思うようにできなかったり

大人のイジメに遭ったり

突然の訃報に接したり・・・

 

時のはざまで

「ひと」は時どき

進む道がわからなくなり

迷子になる

 

時のはざまで迷子になって

 立ち止まつて振り返り

この先どちらに進もうか

思い悩みながら歩む

 

平坦な道を選んだつもりが

山につきあたり 河に遮られ

 

アッチに行き ソッチに向かい

来た道をコッチに戻ったり・・・

 

でも 砂時計の砂が落ちるのを

止めることができないように

 時の刻みは戻せない

若い時は 人生は長く感じるが

老いると 案外と短く思えるものだ

 

ムズカシク考えるのは止めた

 

紙ヒコーキを飛ばすように

気楽に行こうと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

明け方の街

作家の池波正太郎さんは 勤め人をしていた頃 

「他人が休みの日に働くのが好きだった」というが 

私も同類なので その気持ちがよくわかる

 

学生時代に 某百貨店でアルバイトをしていたことがある

 

田舎者なので 自宅から駅までは自動車で通っていた

 

金曜日や土曜日の夜とは異なり 翌日の仕事に備えて

早めに帰宅する人が多い日曜日や連休最終日は

 

どことなく 家々の灯が暖かく感じられて

帰宅途上に車窓から見る そんな夜景が好きだった

 

転職してからは 土日祝祭日は副業をしている

 

一年前

休日の明け方の街は 

「お出掛け」を楽しむマイカーで混雑して

 

休みの最終日は 今も昔と変わらず

翌日の仕事に備えて 早めの帰宅渋滞していた

 

一日も早く そんな平凡な日常が戻ることを願う

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

邪鬼 ~ 鬼に憑かれた男~(拾柒)

ある日 男は「縁切り神社」の噂を聞き 

「コイツラと縁を切れないものか?」と考え
ネットで情報収集してみた

そもそも 邪鬼2体と同化した身体で 
神社を訪れても大丈夫なのだろうか?と
疑問に思い 赤鬼に聞いてみたが 

「自分たちは
邪鬼になるための修業中の未熟者」
「でも 鬼は鬼だから・・・わからない」
と云う

そりゃあ そうだな
ヤツラにも分からないのは当然だ

で ダメで元々 他に思いつく方法もないので
休日を利用して 思い切って訪れてみた

その神社の境内に入る瞬間 
目には見えない何か・・・

例えるなら 
「ゆで卵の殻と白身の間にある薄皮」のような
モノを破る感覚がした

即座に
「結界だ」と 青鬼が教え
「気を付けろよ」と 赤鬼が云った

男は周囲に気を配りながら
慎重に本殿に向かい歩いた

狛犬が鎮座していた

何となく違和感がある・・・と感じ 
よく見ると 
通常は一対だと思われるのだが
この神社は一体のみだった

刹那・・・
「ピューーー」っと 
つむじ風が狛犬の周囲を舞い
「はっ」として もう一度見ると

狛犬の目が「ギョロッ」と動いた

邪鬼 ~ 鬼に憑かれた男~(拾陸:副題「すきま風」)

人の一生には 
追い風 向かい風 すきま風など 
さまざま風が吹く時がある

だから 
今絶好調な人でも
いつまでも順風満帆ということは
決してなく

やることなすことが
裏目裏目の人でも
永遠に逆風に向かい歩くことは
無い

風向きは いつか必ず 変わる

男は 
人生には たくさんの悲しみと 苦しみがあり 
少しの喜びと 希望と夢があるから 
辛うじて 人は生きていけるのだと
それまでは思っていた

その知らせは 突然だった

妻子が事故に遭ったと連絡が来たのは
泊りがけの出張をしていた
曇天の空模様が 真冬日をもたらした
凍てつく日のことだった

あの日から 
目に映るものは 全て灰色に変わり

少しの夢や希望は 絶え
妻子の後を追い 「死」という文字が
何度も頭の中をかすめた

「このままでは いけない」
「動き出さなきゃ 何も変わらない」
「ますは一歩 踏み出そう」
そう思う一方で

結局は「何もせず」に
すきま風が吹くだけの人生を
日々 惰性で歩んでいた

が 
邪鬼を飲み込んで同体化し
最初は「心の言葉」が聞こえ
次に「妖もの」が見えるようになり

さらに 「怒りの感情」を抱くと
何故だか左上肢が
邪鬼のソレに変わるようになり

男の人生は大きく変わった















 



  

  

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